Phase 26-H 完了内容: ✅ JoinIR 型定義実装(src/mir/join_ir.rs) ✅ MIR → JoinIR 自動変換実装(lower_min_loop_to_joinir) ✅ 自動変換テスト実装(mir_joinir_min_auto_lowering) ✅ PHI/Loop箱 → JoinIR 移行対応表追加(loopform_ssot.md) ドキュメント更新: - Phase 27 JoinIR タスク計画追加 - Phase 26-H タスク完了記録 - 各種 README 更新(進捗反映) - CURRENT_TASK.md 更新 コミット統計: $(git status --short | wc -l) files changed 次のステップ: Phase 27 一般化 MIR → JoinIR 変換
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Phase 26-H — JoinIR / 関数正規化フェーズ(private 正本)
このフェーズ 26‑H の詳細な設計・タスク・ログは、まだ公開したくない内容を多く含むので、docs/private 側を正本として管理しているよ。
- 正本 README:
docs/private/roadmap2/phases/phase-26-H/README.md - 正本 TASKS:
docs/private/roadmap2/phases/phase-26-H/TASKS.md
ここ(development 側)は公開用の入口だけ残しておいて、本文は private リポジトリ側でメンテナンスする方針だよ。
JoinIR / 関数正規化の全体方針や最終的な箱の形は、上記の private 側 README を参照してね。
- ループ =
stepを何回も呼ぶこと break=k_exit(...)を呼ぶことcontinue=step(...)を呼ぶこと- φ / LoopCarried 変数 =
stepの引数
ここでは「ループヘッダの φ で悩む」のではなく、「step の引数・k_exit の引数をどう定義するか」に責務が集中する。
2.2 パイプラインの再構成案
現在:
AST → MIR / LoopForm v2 → VM/LLVM
ここに 1 段挟む:
AST → MIR / LoopForm v2 → ★LoopFnIR(関数ループ層) → VM/LLVM
この LoopFnIR/JoinIR 層で:
- 各 LoopForm について「ループ関数(step) + 継続関数(k_exit)」を合成。
- ループの PHI / carrier / exit φ はすべて
step/k_exitの引数として表現。 - 下流(VM / LLVM)は「関数呼び出し(および再帰のループ化や展開)」だけを見ればよい。
結果として:
- LoopForm v2 は「LoopFnIR を作る前段」に役割縮小。
- BodyLocal / Exit φ の詳細設計は「引数に何を持っていくか?」という関数インターフェース設計に吸収される。
4. このフェーズで実装する箱 / 概念ラベル
-
実装として増やす(26-H 内で手を動かすもの)
join_ir.rs: JoinIR 型(関数/ブロック/命令)+ダンプ- LoopForm→JoinIR のミニ変換(1 ケース限定で OK)
- 実験トグル(例:
NYASH_JOINIR_EXPERIMENT=1)で JoinIR をダンプするフック
-
概念ラベル(27.x 以降に検討)
- MirQuery のようなビュー層(reads/writes/succs を trait 化)
- LoopFnLoweringBox / JoinIRBox の分割や最適化パス
- VM/LLVM への統合
※ このフェーズでは「設計+ミニ実験のみ」で、本線スモークは既存 MIR/LoopForm 経路を維持する。
3. 箱の数と最終形のイメージ
3.1 現在の PHI/Loop 周辺の箱(概略)
ざっくりカテゴリ分けすると:
- 構造:
LoopFormBuilderControlForm
- PHI 生成:
HeaderPhiBuilderExitPhiBuilderBodyLocalPhiBuilderIfBodyLocalMergeBoxPhiBuilderBoxPhiInvariantsBox
- 解析:
LoopVarClassBoxLoopExitLivenessBoxLocalScopeInspectorBox- if 解析系(IfAnalysisBox 的なもの)
関数正規化前提で進むと、最終的には:
- PHI を直接扱う箱は「LoopForm→LoopFnIR に変換する前段」に閉じ込める。
- LoopFnIR 導入後の本線では、次のような少数の箱が中心になる:
LoopFnLoweringBox(LoopForm → LoopFnIR / JoinIR)JoinIRBox(JoinIR の保持・最適化)- 既存の VM/LLVM バックエンド(JoinIR からのコード生成側)
という構造に寄せられる見込み。
このフェーズ 26‑H では、「最終的にそこに寄せるための設計図」を書くところまでを目標とする。
4. 最終的に残したい「小さくて強い箱」セット
関数正規化(JoinIR / LoopFnIR)まで含めて、最終的に目指す箱の形をざっくりまとめておく。
-
フロント構造箱(構文 → 構造)
ParserBox- 役割: ソース → AST 変換。制御構造はまだ構文レベル。
ControlFormBox(ControlForm/LoopFormの薄いラッパ)- 役割: AST から If/Loop の「骨格」(preheader/header/body/latch/exit, then/else/merge 等)だけを抜き出す。
- ここでは φ/SSA は扱わない(形の SSOT)。
-
関数正規化箱(LoopFnIR / JoinIR)
LoopFnLoweringBox(LoopForm → LoopFnIR/JoinIR)- 役割: LoopForm/ControlForm を入力に、
step(i, k_exit)/join_after_if(x, k_exit)のような関数+継続の形に落とす。 - φ/Exit/Carrier/BodyLocal をすべて「関数の引数」に吸収する。
- 役割: LoopForm/ControlForm を入力に、
JoinIRBox- 役割: JoinFunction/JoinInst を保持・ダンプし、将来的には JoinIR 上の最適化もここにまとめる。
- 制御は Call/Jump/Ret だけに集約される。
-
解析箱(最小セット)
JoinIrQueryBox(MirQuery/JoinQuery 相当)- 役割: read/write/succs を返すビュー層。ExitLiveness や GC root 判定の入力に使う。
LoopVarClass/IfAnalysisBox(統合して 1 箱でもよい)- 役割: どの変数が loop-carried か(Carrier/Pinned/BodyLocal)・exit 後に使われるかを表で決める箱。
- JoinIR 観点では「関数引数として持つべき変数集合」を返す責務に縮退する。
-
実行箱(バックエンド)
VmBackendBox(Rust VM / PyVM)- 役割: JoinIR から VM 実行用コードに落とす。JoinIR の Call/Jump/Ret を関数呼び出しと分岐に写す。
LlvmBackendBox- 役割: JoinIR から LLVM IR/AOT への変換。関数+基本ブロックへの再投影を行う。
このセットを「最終形」として意識しつつ、26‑H ではまず JoinIR/LoopFnIR 周りの設計とミニ実装だけを進め、PHI/Loop 周辺の既存箱は徐々にこの形に寄せていく。
4. 26-H でやること(スコープ)
- JoinIR / LoopFnIR の設計ドキュメント作成
- 命令セット(call / ret / jump / 継続)の最小定義。
- if / loop / break / continue / return を JoinIR に落とす書き換え規則。
- φ = 関数引数、merge = join 関数、loop = 再帰関数+exit 継続、という対応表。
- 最小 1 ケースの手書き変換実験(MIR → JoinIR)
- ループ+break を含む簡単な関数を 1 例だけ JoinIR に落とし、形を確認。
- MirQueryBox 経由で必要な MIR ビュー API の確認
- reads/writes/succs など、JoinIR 変換に必要な情報がすでに
MirQueryで取れるかチェック。
- reads/writes/succs など、JoinIR 変換に必要な情報がすでに
- すべてトグル OFF で行い、本線(MIR/LoopForm ルート)のスモークには影響させない。
5. やらないこと(26-H では保留)
- 既存ルート(MIR/LoopForm/VM/LLVM)を JoinIR で置き換える。
- スモーク / CI のデフォルト経路変更。
- Loop/PHI 既存実装の削除(これは 27.x 以降の段階で検討)。
6. 実験計画(段階)
-
設計シート
docs/development/architecture/join-ir.mdに命令セット・変換規則・対応表を記述(φ=引数, merge=join, loop=再帰)。
-
ミニ変換実験 1 ケース
- 最小ループ(例:
loop(i < 3) { if i >= 2 { break } i = i + 1 } return i)を MIR → JoinIR へ手書き変換し、テストでダンプを確認。VM/LLVM 実行までは行わない。
- 最小ループ(例:
-
トランスレータ骨格
src/mir/join_ir.rsなどに型定義だけ追加(未配線、トグル OFF)。MirQueryBox(reads/writes/succs)で必要なビューが揃っているか確認。
-
トグル付き実験
NYASH_JOINIR_EXPERIMENT=1などのトグルで最小ケースを JoinIR 変換・ダンプするルートを作る(デフォルト OFF でスモーク影響なし)。
7. 受け入れ基準(このフェーズ)
- docs に JoinIR / LoopFnIR の設計と変換規則が明記されている。
- 最小 1 ケースの JoinIR 変換がテストでダンプできる(join/step/k_exit の形になっている)。
- 本線スモーク(既存 MIR ルート)は影響なし(トグル OFF)。
8. 次フェーズへの橋渡し
- 26-H のスコープは「設計+最小 JoinIR ダンプ+ JoinIrMin 向け自動変換(トグル付き)」まで。
- 27.x では、次のような範囲を候補とする:
- JoinIR 変換器を拡張し、FuncScanner / Stage‑B など本番寄りのループを 1〜2 個 JoinIR で通す(トグル付き)。
- ExitLiveness や BodyLocal PHI の一部を LoopFnIR 側に吸収し、PHI/Loop 周辺の箱を徐々に減らす。
- VM/LLVM 実行経路に JoinIR を統合するのは 27.x 以降を想定し、当面は「設計+ミニ実験」に留める。