hakorune/docs/development/current/main/phases/phase-284

Phase 284: Return as ExitKind SSOT（patternに散らさない）

Status: Planned (design-first)

Goal

return を “pattern 個別の特例” として増やさず、ExitKind::Return と compose::* / emit_frag() に収束させる。 移行期間中の検出穴（Ok(None) による黙殺）を消し、Fail-Fast を構造で担保する。

SSOT References

• Frag/ExitKind 設計: docs/development/current/main/design/edgecfg-fragments.md
• Composition API: src/mir/builder/control_flow/edgecfg/api/compose.rs
• Terminator emission: src/mir/builder/control_flow/edgecfg/api/emit.rs（emit_frag()）
• Router SSOT（SSOT=extract / safety valve）: docs/development/current/main/phases/phase-282/README.md

Problem（移行期間の弱さ）

• Pattern 単位で return を “未対応” にすると、検出戦略（Ok(None)/Err）次第で 静かに別経路へ落ちる。
• その結果、同じソースでも「どの lowering が return を解釈したか」が曖昧になり、SSOT が割れる。

Core SSOT（決めること）

1) 返り値の意味（ExitKind）

• return expr は ExitKind::Return として表現する。
• 返り値（ValueId）は EdgeArgs で運ぶ（Return edge が value を持つ）。
• Return は 必ず emit 側で terminator になる（pattern 側で命令を直に生成しない）。

2) Detect の境界（Ok(None) / Err）

• Ok(None): 一致しない（次の extractor へ）
• Err(...): 一致したが未対応（close-but-unsupported）→ Fail-Fast

Phase 284 の完了条件は「return を含むケースが close-but-unsupported ではなく SSOT 経路で処理される」状態に寄せること。

3) 実装の集約点（どこに寄せるか）

• return の lowering は ExitKind + compose + emit_frag に集約する。
• pattern の extractor は “認識” のみ（SSOT=extract）。return の解釈ロジックを増やさない。

補足: Phase 284 は “return だけのため” ではない。ここで固定するのは Exit 正規化（ExitKind の語彙化）で、 return/break/continue/(将来の unwind) を同じ土台に載せるのが狙い。 「Jump/Branch の配線で exit を表現できる」状態ができると、return はその一例として自然に入る。

Responsibility Map（迷子防止）

このフェーズで一番起きやすい事故は「return をどこで処理するべきか分からず、pattern 側へ散布してしまう」こと。 そこで、どの経路で lower されるかを前提に責務を固定する。

A) Plan line（Pattern6/7）

• 入口: src/mir/builder/control_flow/joinir/patterns/router.rs（route=plan）
• SSOT:
  • src/mir/builder/control_flow/plan/normalizer.rs（Frag 構築: branches/wires/exits）
  • src/mir/builder/control_flow/edgecfg/api/compose.rs（合成 SSOT）
  • src/mir/builder/control_flow/edgecfg/api/emit.rs（emit_frag() terminator SSOT）
• ここでは return を **Return edge（ExitKind::Return）**として組み立てるのが自然。

B) JoinIR line（Pattern1–5,9）

• 入口: src/mir/builder/control_flow/joinir/patterns/router.rs（route=joinir）
• SSOT:
  • JoinIR 生成（pattern 固有の JoinIR lowerer）
  • src/mir/builder/control_flow/joinir/patterns/conversion_pipeline.rs（JoinIR→MIR→merge の唯一入口）
  • src/mir/builder/control_flow/joinir/merge/mod.rs（Return merge / exit block SSOT）
• 注意: src/mir/builder/control_flow/plan/normalizer.rs は Plan line 専用なので、 Pattern4/5 の return 問題の root fix をここへ寄せても効かない。

禁止事項（Phase 284 の憲法）

• ❌ Pattern4/5 の lower() へ「return を特別扱いする if」を散布しない（SSOTが割れる）
• ❌ Extractor が return を見つけた時に Ok(None) で黙殺しない（silent reroute 禁止）
• ✅ return の “対応/非対応” は 共通入口の Fail-Fastで固定する（P1 で実装）

Scope

P0（docs-only）

• return を ExitKind として扱う SSOT を文章で固定する（本ファイル + 参照先リンク）。
• 移行期間のルール（Ok(None)/Err の境界、黙殺禁止）を Phase 282 と整合させる。

P1+（code）

• return を含む loop body を、JoinIR/Plan のどちらの経路でも 同じ ExitKind::Return に落とす。
• VM/LLVM の両方で、return を含む fixture を smoke 化して SSOT を固定する。

Acceptance

• P0: return の SSOT（ExitKind/compose/emit）と detect 境界が明文化されている
• P1+: return を含む loop fixture が VM/LLVM で同一結果になり、smoke で固定されている

P1 の実装方針（design-first 注記）

P1 の root fix は「PlanNormalizer へ寄せる」ではなく、JoinIR line の共通入口へ寄せる：

• 入口候補:
  • src/mir/builder/control_flow/joinir/patterns/conversion_pipeline.rs（最終的な “ここで統一したい”）
  • もしくは JoinIR lowerer 側に “Return collector” を 1 箇所だけ作り、Pattern4/5 はそれを呼ぶだけにする

どちらにしても、目的は同じ：

• pattern 側へロジックを増やさず（散布しない）
• ExitKind::Return へ収束させる（MIR では Return 終端として生成される）