hakorune/docs/development/current/main/design/exception-cleanup-async.md

Catch / Cleanup / Async — Join-Explicit CFG extensions

Status: Draft（design SSOT candidate）
Last updated: 2025-12-20

Related:

• North star: docs/development/current/main/design/join-explicit-cfg-construction.md
• Phase 260 roadmap: docs/development/current/main/phases/phase-260/README.md

目的

Nyash/Hakorune の表面文法（主に postfix catch/cleanup）に合わせて、例外/後始末/中断（async）を追加するときに JoinIR→MIR の暗黙ABI（推測/メタ/例外的分岐）を再増殖させないための設計メモ。

注: try { ... } は言語資料上は legacy/非推奨として扱われることがあるが、この設計は try の存在を前提にしない（catch/cleanup を正規化の入口にする）。

ポイントは 2 つだけ:

1. 制御フローは edge を明示し、値は edge-args（block params）で運ぶ
2. “意味SSOT” と “配線SSOT” を分離し、Fail-Fast の verify を常設する

実装タイミング（推奨）

前提（Phase 260 で固める）:

• MIR で edge-args が terminator operand にあり、BasicBlock.jump_args に依存しない（併存→移行→削除の P2 到達が理想）
• “読む側” の参照点が out_edges()/edge_args_to(target) に一本化されている（Branch 含む）
• “書く側” の terminator 設定が API で一元化されている（successors キャッシュ同期漏れを構造で潰している）
• DCE/verify/printer が terminator operand を SSOT として扱う（メタ追いが不要）

順序（迷子が減る順）:

1. catch/cleanup（例外）: Invoke(ok_edge, err_edge) を追加（例外 edge を明示）
2. cleanup/defer（後始末）: “脱出 edge 正規化” を追加（Return/Throw/Break/Continue を cleanup に寄せる）
3. async/await: CFG 語彙に混ぜず state-machine lowering（AsyncLowerBox）で分離

用語（この文書の範囲）

• edge-args: branch/jump の edge に紐づく引数。ターゲット block の params と 1:1 で対応する。
• Invoke: 正常継続（ok）と例外継続（err）を持つ呼び出し terminator。
• cleanup normalizer: cleanup/defer を実現するために「スコープ外へ出る edge」を cleanup ブロックに集約する正規化箱。
• async lowering: await を state machine に落としてから CFG（MIR）にする箱。

catch（最小語彙：例外 edge）

目標

• 例外経路を “暗黙” にせず、CFG の edge として明示する。
• 例外値は catch block の params（edge-args）で受ける。

最小追加語彙（案）

• MirTerminator::Invoke { callee, args, ok: (bb_ok, ok_args), err: (bb_err, err_args) }

設計ノート:

• ok/err 両方が必須（片側欠落を許さない）
• ok/err の args は “役割付きABI” で解釈する（将来 JoinAbi/ContSigId へ）

throw の扱い（最小）

MIR で Throw を増やさずに済む形:

• 正規化（Normalizer）が “現在の例外継続” を知っており、throw e を Jump(unwind_bb, [e, ...]) に正規化する

verify（Fail-Fast）

• Invoke は terminator（block の最後）であること
• ok/err のターゲット block params と args の数が一致すること
• err 側の先頭 param は例外値（role=Exception）であること（最低限の役割固定）
• “may_throw な呼び出し” を Call で表していないこと（暫定: 当面は全部 Invoke に倒しても良い）

cleanup（脱出 edge 正規化）

目標（finally の後継としての cleanup）

• return/break/continue/throw 等の “脱出” を cleanup 経由に統一して、後始末漏れを構造で潰す。
• 例外/return の payload は edge-args（block params）で運ぶ（PHI/メタに逃げない）。

最小形（案）

スコープ S ごとに次の 2 ブロック（または 1 ブロック + dispatch）を作る:

• cleanup_entry_S(tag, payload..., carriers...)
• cleanup_dispatch_S(tag, payload..., carriers...)

ExitTag（例）:

• Return
• Throw
• Break
• Continue
• Cancel（async の drop/cancel 用に予約）

verify（Fail-Fast）

• S の内部ブロックから “S の外” への edge が存在したら落とす（例外: cleanup_dispatch のみ）
• Invoke.err など “例外 edge” も漏れなく cleanup に寄せられていること
• ExitTag の分岐が未処理になっていないこと（Unknown は即死）

async/await（state machine lowering）

目標

• await を CFG 語彙に混ぜず、AsyncLowerBox が責務として消す（残ったら verify で即死）。
• cancel/drop が必要なら ExitTag::Cancel と cleanup を接続して後始末を一貫化する。

最小インターフェース（案）

• await は “前段IR（AsyncPrep）” にのみ存在してよい
• AsyncLowerBox で state machine 化した後、MIR は Jump/Branch/Return/Invoke/Call の語彙だけにする

verify（Fail-Fast）

• AsyncLowerBox 後に await が 1 つでも残っていたら落とす
• state dispatch が全 state をカバーしていること（未到達 state は削除可）