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Phase 25.1j — LoopSSA v2 本体 & Stage‑B harness 強化

Status: planning（.hako 側 LoopSSA v2 本体／Rust SSA/PHI は触らない）

ゴール

• 25.1i で整えた LoopSSA + ControlFormBox 観測レイヤー の上に、.hako 側 LoopSSA v2 の「本体」を載せる準備をする。
  • 特に Stage‑B minimal harness（tools/test_stageb_min.sh）Test 2 で出ている
    MIR compilation error: Undefined variable: trace を構造的に解消する。
  • 文字列ハードコードベースの Exit PHI 注入（_collect_phi_vars / synthetic "r{block}_{var}"）は 即座には捨てず、 将来の v2 実装に移行しやすいよう責務を整理する。
• このフェーズでは:
  • LoopSSA / BreakFinderBox / PhiInjectorBox の trace 変数の扱いとスコープを整理し、 「どこで ENV を読むか」「どこまで Box 内のローカルで閉じるか」を決める。
  • Stage‑B Test 2 が Program(JSON v0) 出力まで進み、Rust 側 MirBuilder の SSA/PHI 検証に到達できる状態を作る。
  • Stage‑B Test 3 の %0/SSA 問題については「LoopSSA v2 が悪化させていない」ことの確認まで（根治は次フェーズ）。

前提（25.1i までで揃っているもの）

• Rust:
  • Loop/If:
    • LoopForm v2 + Conservative PHI Box が ControlForm（LoopShape/IfShape）経由で統合済み。
    • レガシー build_loop_legacy は削除済みで、LoopForm v2 が唯一のループ構築経路。
  • テスト:
    • mir_loopform_exit_phi / mir_stage1_using_resolver_* / mir_stageb_loop_break_continue は緑。
• .hako:
  • lang/src/compiler/builder/ssa/loopssa.hako:
    • LoopSSA.stabilize_merges(stage1_json) が BreakFinderBox.find_breaks → PhiInjectorBox.inject_exit_phis の簡易パイプライン。
    • HAKO_LOOPSSA_EXIT_PHI で Exit PHI 注入の ON/OFF を制御している。
  • lang/src/compiler/builder/ssa/exit_phi/break_finder.hako:
    • 文字列ベースで "loop_header": / "loop_exit": を探す _find_loops。
    • header_id < id < exit_id の範囲で body block を推定する _find_loop_body。
    • break を「jump terminator の target が exit_id」な block として検出。
    • HAKO_COMPILER_BUILDER_TRACE=1 で [break-finder] … と [loopssa/control] … ログを出す。
  • lang/src/shared/mir/control_form_box.hako:
    • 現行構文で ControlFormBox を定義（kind_name / entry / exits + loop/if 用フィールド）。
    • from_loop(header_id, exit_id, body_blocks) / from_if(cond, then, else, merge) で Loop/If の形を復元。
  • lang/src/compiler/entry/compiler_stageb.hako:
    • Stage‑B entry が CompilerBuilder.apply_all(ast_json) を通した後の JSON を出力する構成。
    • 25.1i で using lang.compiler.parser.parser_box as ParserBox 等の修正により parse error は解消済み。
• Stage‑B minimal harness:
  • tools/test_stageb_min.sh:
    • Test1: 直接 VM 実行 → RC=0。
    • Test2: Stage‑B 経由 → LoopSSA/Exit PHI 経路まで進むが最終的に
      MIR compilation error: Undefined variable: trace で停止（LoopSSA v2 経路における trace スコープの問題）。
    • Test3: NYASH_VM_VERIFY_MIR=1 で %0 undefined 由来の SSA 問題が残っている（根本は LoopSSA だけとは限らない）。

方針（25.1j: LoopSSA v2 本体の入口を整える）

J‑A: LoopSSA/BREAK/PHI 周辺の trace 変数スコープの整理

• 目的:
  • .hako 側 LoopSSA パスの中で trace という名前が 常にローカル or Box フィールドとして定義されている 状態にする。
  • Stage‑B Test2 における Undefined variable: trace を根治し、Program(JSON v0) 出力まで進める。
• 方針:
  • 「ENV から読む責務」と「boolean フラグを渡して使う責務」を分離する。
  • 具体的には:
    • LoopSSA.stabilize_merges の先頭で local builder_trace = env.get("HAKO_COMPILER_BUILDER_TRACE") を読む。
    • BreakFinderBox.find_breaks / PhiInjectorBox.inject_exit_phis には 数値フラグ trace_flag を第3引数として渡す（0/1）。
    • 各 Box 内では local trace = trace_flag（または me.trace フィールド）として閉じた名前にする。
  • 既存の local trace = env.get("HAKO_COMPILER_BUILDER_TRACE") は LoopSSA に集約し、下位 Box は「引数でもらったフラグだけを見る」構造に変える。

J‑B: LoopSSA v2 の責務再定義（設計）

• 目的:
  • LoopSSA.stabilize_merges が「何を受け取り、どこまで責任を持つか」を Rust LoopForm v2 に揃えた形で 明文化 する。
  • Stage‑B / LoopSSA / BreakFinderBox / PhiInjectorBox の責務分割を Box 単位で固定し、将来の v2 実装時も迷わない足場を作る。
• 方針:
  • LoopSSA パスを 3 層に分解して設計を書く:
    1. LoopSSA（オーケストレータ箱）
       • input: Stage‑1 Program(JSON v0)（単一関数 or Program 全体）。
       • output: Loop break に対する exit PHI が挿入された Program(JSON v0)。
       • 責務:
         • dev トレースフラグ（HAKO_COMPILER_BUILDER_TRACE）と機能フラグ（HAKO_LOOPSSA_EXIT_PHI）を解釈。
         • BreakFinderBox.find_breaks(stage1_json, trace_flag) を呼んで Loop + break 情報を収集。
         • PhiInjectorBox.inject_exit_phis(stage1_json, breaks, trace_flag) に処理を委譲。
         • 例外時は JSON を変更せず Fail‑Fast する（「部分的に壊れた JSON を返さない」）。
    2. BreakFinderBox（解析箱 / read‑only）
       • input: Stage‑1 Program(JSON v0)、trace_flag。
       • output: break 情報の配列（[{block_id, exit_id, loop_header}, …]）。
       • 責務:
         • "loop_header":NNN / "loop_exit":MMM のペアを見つけ、単純な LoopScope を構成する。
         • ControlFormBox に Loop 形（header/exit/body）を写し取る（観測用）。
         • JSON 文字列は一切書き換えない（解析専用）。
    3. PhiInjectorBox（変換箱 / write‑only）
       • input: Stage‑1 Program(JSON v0)、break 情報配列、trace_flag。
       • output: Exit PHI 相当の命令を instructions 配列の先頭に挿入した Program(JSON v0)。
       • 責務:
         • break ごとの incoming 値を集約し、phi_vars = [{name, incoming:[{block,value},…]}, …] を構成。
         • Exit block の "instructions":[ … ] の直後に PHI 相当 JSON をテキスト挿入する。
         • 既存の命令配列順を壊さない（PHI は「先頭に」挿入するのみ）。
  • Carrier / Pinned / Invariant の扱いは 設計としてだけ 固める:
    • Carrier: ループ内で値が更新され、exit でも必要になる変数（Rust 側 Carrier と対応）。
    • Pinned: pin 付き一時値（__pin$…）など、観測目的で特別扱いする変数。
    • Invariant: ループ外で定義され、ループ内で再定義されない値（PHI 不要）。
  • 25.1j では Exit PHI のアルゴリズム自体はまだ現行の simple 版のまま としつつ、 LoopSSA / BreakFinderBox / PhiInjectorBox の責務境界だけを README とソースコードコメントで明確にする。

J‑C: BreakFinder v2 への足場（ControlFormBox の本格利用準備）

• 目的:
  • 既存の loop_info = {header, exit, body} ベースに加えて、ControlFormBox に Loop 形を必ず写す。
• 方針:
  • BreakFinderBox._find_loops 内で:
    • loop_info 生成に加えて local cf = new ControlFormBox() → cf.from_loop(header_id, exit_id, body_blocks) を常時呼ぶ。
    • trace ON のとき [loopssa/control] ログに加えて ControlFormBox の内容も JSON 風にまとめて出す（header/exit/body_size）。
  • このフェーズでは戻り値の構造はまだ変えず、find_breaks は従来どおり breaks 配列を返す。

J‑D: PhiInjector v2 設計（実装は次フェーズ）

• 目的:
  • Exit PHI 注入を ControlFormBox/LoopScope ベースで書き直すための 設計を先に固める。
• 方針:
  • 25.1j ではコード本体は変えず、phi_injector.hako と README に設計のみ追記:
    • inject_exit_phis(json_str, breaks, trace_flag) の将来形（ControlFormBox + break 群 + JSON v0）を定義。
    • Carrier/Pinned/Invariants を Rust LoopForm v2 の概念に揃える。
    • common_vars = ["i","n","item",…] のハードコードは「v2 で撤退予定」とコメントで明示。
  • 実アルゴリズムの書き換え（v2 本体）は Phase 25.1k 以降の大きなタスクとして分離する。

このフェーズで「しない」こと

• .hako 側 LoopSSA を Rust LoopForm v2 と完全同型にすること（PHI アルゴリズムの全面移植）は行わない。
• Stage‑B Test3 の %0/SSA エラーを「必ずゼロにする」こと:
  • 25.1j では trace 変数のスコープ修正と LoopSSA v2 の責務整理 に集中する。
  • %0 の根治は、LoopSSA v2 本体（Carrier/Pinned/Exit PHI）を実装する次フェーズのターゲットとする。