# Phase 25.1d — Rust MIR SSA / PHI Smokes Status: planning(構造バグ切り出しフェーズ・挙動は変えない/Rust側のみ) ## ゴール - Rust MIR builder(`MirBuilder` + `LoopBuilder` + IfForm)の SSA / PHI 周りのバグを「Rust テスト/スモーク」で淡々と炙り出して潰すフェーズ。 - Stage‑B / Stage‑1 / selfhost で見えている ValueId 未定義問題を、Rust 側の最小ケースに還元してから直す。 - Nyash 側 MirBuilder(.hako 実装)は Phase 25.1c / 25.1e 以降に扱い、まずは Rust 層の PHI 不整合を止血する。 ## 方針 - 新機能追加ではなく **テスト+バグ修正のみ**。 - 1バグ1テストの原則で、「再現用 Hako もしくは AST 構築 → MirCompiler → MirVerifier」のパターンを増やしていく。 - 既に報告されている Undefined Value / non‑dominating use / Phi 不足を、そのまま Rust テストケースに落とし込む。 ## タスク粒度(やることリスト) 1. **Stage‑B 最小ハーネスの Rust テスト化** - 既存: `lang/src/compiler/tests/stageb_min_sample.hako` + `tools/test_stageb_min.sh`。 - やること: - Rust 側に小さなテストを追加(例: `src/tests/stageb_min_mir_verify.rs`): - `Hako` → `AST` → `MirCompiler::compile(ast)` → `MirVerifier::verify_module`。 - 期待: Stage‑B 最小サンプルのみを対象に Undefined Value が 0 件であること。 - 目的: shell スクリプトに依存せず、`cargo test` ベースで Stage‑B 由来の MIR を検証できる足場を作る。 2. **単一関数向け PHI スモークの追加** - 対象関数(Rust 側で直接 AST を組む/Hako を読む): - `TestArgs.process(args)` 型: `if args != null { local n = args.length(); loop(i < n) { ... } }` - `TestNested.complex(data)` 型: if + nested loop + method call。 - やること: - 簡単な Hako を `tests/mir_phi_*` ディレクトリか `src/tests/*` に置き、MirCompiler でコンパイルして verifier を通すテストを書く。 - ここでは Stage‑B を通さず、直接 Rust MirBuilder に食わせて PHI / recv の挙動を見る。 3. **LoopBuilder / IfForm の PHI 不整合の切り出し** - すでに verifier が報告している場所: - `JsonScanBox.seek_array_end/2` の non‑dominating use。 - `Stage1UsingResolverBox._collect_using_entries/1` / `resolve_for_source/1` の Phi 不足。 - `ParserBox.parse_program2/1` の merge block Phi 不足。 - やること: - 各関数について「最小に削った MIR 再現ケース」を Rust テストとして切り出し(AST 直書きでもよい)、`MirVerifier` が通るように LoopBuilder / IfForm / PHI 挿入コードを修正する。 - ポイント: - 1 関数ずつ、小さなテスト+小さな修正で前に進める(大量に一気にいじらない)。 4. **Stage‑B 関数群の Rust スモーク** - `compiler_stageb.hako` から抜き出された関数: - `StageBArgsBox.resolve_src/1` - `StageBBodyExtractorBox.build_body_src/2` - `StageBDriverBox.main/1` - やること: - AST もしくは Hako→AST 変換経由で、これらの関数だけを MirCompiler にかけるテストを用意。 - 各テストで `MirVerifier::verify_function` を呼び、Undefined Value / Phi 不足が無い状態を目標に、Loop/If lowering を順番に修正していく。 5. **Verifier 強化(Method recv / PHI に特化したチェック)** - 追加したいチェック: - `MirInstruction::Call` で `callee = Method{receiver: Some(r)}` のとき、`r` がその関数内で一度以上 `dst` として定義されているか。 - Merge block で predecessor 定義値をそのまま読む場合に「Phi が必須」な箇所を強制エラーにする。 - これを入れた上で、上記の小さなテストが全部緑になるように MirBuilder 側を直す。 ## スコープ外 - Nyash 側 MirBuilder(`lang/src/mir/builder/*.hako`)の本格リファクタ。 - ここは Phase 25.1c / 25.1e で箱化・モジュール化しつつ直す想定(receiver=0 ハードコード撤去など)。 - 新しい MIR 命令追加や意味論変更。 - 既存の MIR 命令セットの範囲で SSA / PHI の整合性を取る。 ## まとめ - Phase 25.1d は「Rust MIR SSA / PHI のスモークを増やしてコツコツ直す」フェーズ。 - やることは単純で、やる量は多い: - 小さいテストを書く → verifier で赤を出す → LoopBuilder / IfForm / MirBuilder を直す → 緑になるまで繰り返す。 - これにより、Stage‑B / Stage‑1 / selfhost の土台となる Rust MIR 層が安定し、その上に Nyash selfhost 側の MirBuilder を載せやすくする。 - なお、Stage‑B 最小ハーネス(`stageb_min_sample.hako`)については、Rust MIR builder 経由の直接 VM / MIR verify は既に緑であり、残っている stack overflow は `compiler_stageb.hako` 側の Nyash ボックス連鎖に起因するものと考えられる。Rust 層では `emit_unified_call` / BoxCall / legacy 警戒の再入防止フラグと再帰深度カウンタを導入済みであり、以降は Nyash 側に浅い再帰ガードを置いて原因ボックスを特定するフェーズへ引き継ぐ。