# GC切り替え可能な意味論的等価性 - 研究提案 作成日: 2025-08-27 ## 研究テーマ プログラミング言語において、ガベージコレクション(GC)の有効/無効を切り替えても、プログラムの動作が完全に同一となる「意味論的等価性」を保証する言語設計の研究。 ## 研究背景 従来、プログラミング言語は以下の2つのカテゴリに分類される: 1. **GCあり言語**: Java, Go, Python等 - 自動メモリ管理により開発が容易 - 実行時オーバーヘッドが不可避 2. **GCなし言語**: C++, Rust等 - 手動メモリ管理により高性能 - 開発の複雑性が高い この二分法を超えて、**同一のコードでGCあり/なしを切り替え可能**な第三の道を探求する。 ## 研究目的 1. GC切り替え可能な言語の理論的基盤を確立 2. 意味論的等価性を保証する制約条件を明確化 3. 実用的な実装方法を提示 4. 開発効率と実行性能の両立を実証 ## 主要概念 ### 所有権森(Ownership Forest) ``` 定義: オブジェクトグラフが以下の条件を満たすとき、所有権森と呼ぶ 1. 循環参照が存在しない(DAG性) 2. 各ノードが唯一の所有者を持つ(単一所有) 3. 解放順序が決定的である(決定性) ``` ### 意味論的等価性 ``` 定義: プログラムPについて、以下が成立するとき意味論的等価という ∀input. execute_with_gc(P, input) = execute_without_gc(P, input) ``` ## 研究計画 ### Phase 1: 理論構築(3ヶ月) - 形式的な言語モデルの定義 - 所有権森の数学的定式化 - 等価性証明の枠組み構築 ### Phase 2: 実装(6ヶ月) - Nyash言語での実装 - GC切り替え機構の開発 - リーク検出システムの構築 ### Phase 3: 評価(3ヶ月) - ベンチマークスイートの作成 - 性能評価実験 - 開発効率の測定 ## 期待される成果 1. **学術的貢献** - 新しいメモリ管理パラダイムの提示 - GCの役割に関する新しい視点 - 形式的な等価性証明 2. **実用的貢献** - 開発時と本番時で異なる実行モード - メモリリークの早期発見 - 性能とのトレードオフ解消 ## 関連研究 - Region-based memory management - Linear types and ownership - Compile-time garbage collection - Rust's ownership system ## 研究チーム - 主研究者: [TBD] - 共同研究者: Nyashプロジェクトチーム - アドバイザー: [TBD] --- *この研究提案は随時更新されます*