# Plugin Lifecycle and Box RAII 最終更新: 2025-08-22 ## 概要 NyashのBoxには「ユーザー定義Box」「ビルトインBox」「プラグインBox」があります。いずれもRAII(取得した資源は所有者の寿命で解放)に従いますが、プラグインBoxは共有やシングルトン運用があるため、追加ルールがあります。 ## 共通ライフサイクル(ユーザー/ビルトイン/プラグイン) - インスタンスの寿命が尽きると、強参照フィールド(public/private)に対し順に `fini()` が呼ばれ解放(weak はスキップ) - `local` 変数のスコープを抜けると、そのスコープで生成されたインスタンスは解放対象 - 明示的に `fini()` が呼ばれた場合も同様に後処理を実施 補足: - これらは Nyash のスコープトラッカにより実施されます - 解放順は生成の逆順(LIFO)で、カスケード `fini` を保証します ## プラグインBoxの特則(シングルトン) - シングルトン(`nyash.toml`) - プラグインのBox型は `singleton = true` を宣言可能 - ローダが起動時に `birth()` し、以後は同一ハンドルを共有して返却 - シャットダウン時(`shutdown_plugins_v2()` など)に一括 `fini()` されます 補足: - Nyashは参照カウントを採用しません。解放は「スコープ終了」または「明示的`fini`」のみで決まります(自己責任モデル)。 - プラグインBoxも同じルールです。スコープ終了時に`fini`され、以後の利用はエラー(Use after fini)。 - 長寿命が必要なケースは「シングルトン」で運用してください(個別のBoxに特例は設けない)。 ### 例: `nyash.toml` 抜粋 ```toml [libraries."libnyash_counter_plugin.so".CounterBox] type_id = 7 singleton = true ``` ## Net Plugin(HTTP/TCP)運用メモ - ログ - `NYASH_NET_LOG=1` で有効化、`NYASH_NET_LOG_FILE=net_plugin.log` 出力先 - 並列実行とポート - E2Eや並列CIではポート競合を避けるため、テスト毎にポートを明示(例: 8080, 8081, ...) - サーバ終了タイミング(`stop()`/スコープ終了)とクライアント接続の順序に注意 ## ベストプラクティス - ユーザー/ビルトインBox - フィールドの weak 指定(循環参照の解消)を活用 - 必要に応じて明示 `fini()` を呼び、高価な資源(ファイル/ソケット等)を早期解放 - プラグインBox - シングルトン化が望ましい長寿命資源(サーバ、デバイス)に `singleton = true` - 複数スコープで共有される可能性がある値は、スコープ終了時に自動 `fini` されないことを前提に設計 - 終了前に `shutdown_plugins_v2()` を呼ぶと単一箇所で確実に `fini` を実行可能 ## 実装参照 - スコープ追跡: `src/scope_tracker.rs`(スコープ終了時の `fini` 呼出し、プラグインBox自動 `fini` 回避) - プラグインローダ: `src/runtime/plugin_loader_v2.rs`(シングルトン生成・保持・シャットダウン、`PluginHandleInner::drop` の `fini`)