# If/Match 正規化ガイド(Control-Flow Normalize) 目的 - If と Match を“合流点が明確な制御フロー”へ正規化し、MIR/LLVM が一貫した PHI 生成を行えるようにする。 - ルールをシンプルに保ち、LoopForm(キャリア)と相性良く動作させる。 推奨ビルダー(コンパイル時メタ) - ControlFlowBuilder: If/Match の正規化(join 変数・If 連鎖生成)。 - PatternBuilder: パターン条件(==/OR/AND/型チェック/デフォルト)を構築。 適用タイミング - マクロ前展開パスの中で、If/Match 正規化 →(必要に応じて)LoopForm 正規化の順で適用するのが基本。 - ループ本体に If/Match が含まれていても、If/Match 正規化は局所的に完結する(LoopForm と独立に安全)。 正規化ポリシー(If) - 条件式を一度だけ評価し、`cond` ローカル(gensym)へ束ねる。 - then/else の両方で結果が必要な場合(式コンテキスト)は、`res` ローカル(gensym)を導入して各枝で代入し、合流ブロックの先頭で PHI に集約される形を誘導する。 - 代入や副作用の順は保存する(順序変更はしない)。 例(式 If の正規化) ``` // 入力 local x = if (a < b) { 10 } else { 20 } // 概念的な正規化(AST JSON v0 を生成するマクロ) local cond = (a < b) local res if (cond) { res = 10 } else { res = 20 } local x = res ``` 正規化ポリシー(Match) - スクルーティニー(`match ` の ``)を一度だけ評価し、`scrut` ローカル(gensym)へ束ねる。 - 各アームのパターンは If 連鎖へ合成する: - リテラル: `scrut == lit1 || scrut == lit2 || ...` - 型パターン: `type_check(scrut, T)`(必要なら `as/cast` を then 側で実行) - ガード: パターン条件と `&&` で合成(短絡規約に従う) - デフォルト(`_`)は最後に配置。式コンテキストでは `res` ローカルを用いて各アームで代入し、合流で 1 個の PHI に収束させる。 例(ガード付き Match の正規化概念) ``` // 入力 local msg = match x { 0 | 1 if small => "small", IntegerBox(n) => n.toString(), _ => "other", } // 概念的な正規化 local scrut = x local res if ((scrut == 0 || scrut == 1) && small) { res = "small" } else if (type_check(scrut, IntegerBox)) { // 必要なら as/cast を then 内で行う res = toString(as_int(scrut)) } else { res = "other" } local msg = res ``` PHI と合流の不変条件 - PHI は合流ブロックの“先頭”にのみ現れる構造を誘導する。 - 式 If/Match は必ず `res` ローカルへ各枝で代入してから合流させる(空 PHI が出ない)。 - 条件・スクルーティニーは 1 回評価(gensym ローカル)。 実装メモ(MVP) - 本ガイドはユーザーマクロ(Nyash)で AST JSON v0 を編集する前提(既定で有効化)。 - 既存の Match→If 連鎖はパーサ段階でも行っているが、正規化マクロは“式コンテキストの合流(res ローカル)”や“型チェック/ガード合成の一貫性”を担保する。 - 先に If/Match 正規化、その後に LoopForm(キャリア整形)を行うと、LLVM 側の PHI が安定する。 テストと検証 - ゴールデン: 入力→展開後 AST JSON を正規化比較(キー順非依存) - PHI スモーク: If/Match 正規化後のプログラムで「空 PHI の不在、ブロック先頭配置」を確認 関連ドキュメント - docs/guides/loopform.md - docs/reference/ir/ast-json-v0.md