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hakorune/docs/development/roadmap/phases/phase-25/README.md

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# Phase 25 — 脱Rustランタイム / Ring0-Ring1 再編
Status: proposal設計フェーズ・実装は後続ホスト想定
## ゴール
- Rust 層を **Ring0最小シード** に縮退し、それ以外のランタイム・数値コア・箱ロジックを **Hakorune(Ring1)** 側へ段階的に移行する。
- 具体的には、Phase 21.6/21.8 で導入した:
- `IntArrayCore`(数値一次元配列コア)
- `MatI64`行列箱・i64版
などを、「Rust プラグイン実装」ではなく **Hakorune 実装+ごく薄い intrinsic** に置き換えるための設計ロードマップを固める。
- 新しい箱・数値カーネル・標準ランタイム機能は **原則 .hako で実装する** 方針を明文化し、「Rust Freeze PolicySelfHost First」を Phase 25 で具体化する。
## レイヤー方針Ring0 / Ring1
### Ring0Rust / C 相当 ― 最小シード)
**責務:**
- プロセス起動・エントリポイント
- OS / FFI / LLVM C API への極小ラッパ
- VM の実行コア命令デコード・レジスタファイル・GC/alloc の最小部分)
- **汎用 intrinsic** のみ提供(例: メモリ確保・生ポインタload/store・基本的な memcpy 等)
**禁止 / 抑制:**
- 新しい Box 種類IntArrayCore / MatI64 / StringBuilder 等)を Rust 側に増やさない。
- 新しい最適化ロジック・言語ルール・Box メソッド実装を Rust に追加しないAGENTS.md 5.2 Rust Freeze Policy に準拠)。
### Ring1Hakorune / Nyash ― System サブセット)
**責務:**
- 数値コア・行列コア・文字列ビルダなどの **「C 言語で書いていた部分」** を、Hakorune で実装する層。
- 代表例:
- `nyash.core.numeric.intarray.IntArrayCore`
- `nyash.core.numeric.matrix_i64.MatI64`
- `StringBuilder` / 将来の `F64ArrayCore`
- ランタイムポリシー・統計・ログ・一部の AotPrep / MIR パス(構造的なもの)。
**方針:**
- Rust 側が提供するのは `alloc/free/copy/load/store` などの **型パラメトリックな intrinsic** のみ。
- 箱のフィールド管理ptr+len+stride、境界チェック、ループ本体、行列演算アルゴリズムなどは **すべて .hako 側で記述**
- Ring1 コードは AOT して `stdlib` 相当の成果物(例: `stdlib.hbc`)として VM 起動時にロードする構造を目指す。
## スコープPhase 25
Phase 25 は「設計とロードマップの確定」が主目的。実装・移行作業自体は後続フェーズ22.x/26.x など)で分割実施する。
### 1) Rust Freeze の明文化とチェックリスト
- 既存の「Rust Freeze PolicySelfHost First」を、ランタイム/箱/数値系に特化して再整理:
- 新規 Box / ランタイム機能は Rust ではなく .hako で実装する。
- Rust 変更は「最小の intrinsic 追加」か「バグ修正」に限定。
- PR / フェーズ用チェックリスト案を作成:
- [ ] この変更は Ring0 の責務かVM/allocator/LLVM/OS FFI のみ)
- [ ] 新しい Box/アルゴリズムを Rust に追加していないか?
- [ ] .hako に移せる部分が残っていないか?
### 2) IntArrayCore / MatI64 の移行設計
- 現状:
- Phase 21.6: Rust プラグイン `IntArrayCore` + Hako ラッパ Box。
- Phase 21.8: `MatI64` Box を Hako で実装しつつ、コア配列は IntArrayCore に依存。
- 目標:
- IntArrayCore の **本体ロジックlen 管理・get/set/fill 等)を Hako 側に移す**
- Rust 側は:
- `rt_mem_alloc_i64(len) -> (ptr,len)`
- `rt_mem_free_i64(ptr,len)`
- `rt_unsafe_load_i64(ptr, idx)`
- `rt_unsafe_store_i64(ptr, idx, val)`
など、小さな intrinsic 群に縮退。
- タスク(設計レベル):
- 必要な intrinsic セットの定義型・エラー処理ポリシー・FailFast方針
- `nyash.core.numeric.intarray` の API 仕様と内部構造ptr+len/所有権/ライフサイクル)を docs に固定。
- MatI64 が IntArrayCore をどう利用するかrow-major/stride/ビューなど)を整理。
### 3) System Hakorune サブセットの定義
- Ring1 で「C 代替」として安全に使える記法/機能を定義:
- 推奨: 明示ループwhile/for、FailFast、Box フィールドの明示管理。
- 慎重に: 例外/非同期/動的ロードなど、ランタイム依存が重い機能。
- ドキュメント案:
- `docs/development/runtime/system-hakorune-subset.md`(候補)
- 想定ユース:
- numeric core / matrix core
- runtime policy / stats
- 一部 MIR/AotPrep ロジック
### 4) stdlib ビルド/ロード戦略のたたき台
- 目標:
- 「Hakorune で書かれた runtime/numeric コード」を AOT して、VM 起動時に一括ロードする仕組みを設計。
- 方針案:
- `tools/hakc_stdlib.sh`(仮)で:
- `lang/src/runtime/**/*.hako` のうち Ring1 対象をコンパイルして `build/stdlib.hbc` を生成。
- `hakorune` / `nyash` バイナリ起動時に:
- `stdlib.hbc` を自動ロードPATH または env で切り替え)。
- Phase 25 では「どのモジュールを stdlib に含めるか」「ビルド/ロードの責任境界」を文章で決めるところまで。
## アウト・オブ・スコープPhase 25
- 実際のコード移行Rust 実装の削除や .hako への完全移植)は、このフェーズでは行わない。
- 新しい機能追加や大規模最適化VM/LLVM 側)は対象外。
- 既存の 21.x フェーズのベンチ結果改善は、Phase 25 の直接スコープ外(ただし設計上のゴールには参考としてリンクする)。
## このフェーズ終了時の「完成形」
- Rust / Hakorune の責務分離が文書として明確になり、「新しい箱・数値カーネルは .hako で書く」がプロジェクトの合意として固定されている。
- IntArrayCore / MatI64 の「Rust→Hakorune 移行」手順が、段階ごとのタスクリストとして整理されている。
- System Hakorune サブセットと stdlib ビルド/ロード戦略のたたき台があり、後続フェーズ(例: Phase 22.x / 26.xでそのまま実装に着手できる状態になっている。